ブライアンのサークルの横に布団を敷いて寝る。
1〜2時間過ぎてはブライアンは苦しそうに叫び始め、
慌てて起きてはさすってやる。サークルから出して
抱きかかえる。ほとんど眠れない。
夜はそうやって毎日が過ぎた。
Youtubeで癲癇(てんかん)の犬の発作を探すと
ブライアンの症状と似ていた。
水頭症からくる癲癇もあるので、悪い想像が膨らんでは、
カミさんにわからないように隅で男ながら涙を流した。
3/31火曜日
検査当日、やっと原因がわかるとヘルニアの場合の
箇所の特定と、癲癇(てんかん)か水頭症への不安を抱え、
先ずは脳波検査へ。
検査の結果待ちに僕らは一時帰宅した。
午後、再度病院へ訪れた。
先生に会った瞬間に「癲癇の脳波がでてるよ。」と
言われて膝が落ちそうになる。
だが、癲癇を持っている犬でも発症しない犬もいる。
どうやら生まれつきに持ち合わせていたようだが、
今までにブライアンは発作した事はない。
続いてCT検査へ。検査の場所まで病院の車で移動。
鎮静剤を注射されてぐったりしたブライアンは
重かった〜〜!ここのところ抱きかかえる事が多く、
僕の腕も悲鳴を上げそうだ。
犬のCT検査はどうやるんだろうか?
と興味はあったが、人間と同じ機械に動物が乗るだけだった。
(もちろんここのCT検査機は動物用ね)
体はぐったりしているが目はキョロキョロ...可愛かった。
撮影をしながら、検査に同行してくれた若い女の先生が
「水頭症ではないですねぇ」と教えてくれ、少し安心。
裏返って首のCT
検査を終えてぐったり。
首の骨に異常が見つかる。
頸椎の椎間板が既に飛び出て
骨化しているという!
つい最近の突出ではないとしたら、ブライアンは生まれつき
この痛みを持っていたという事??
「これを見せたらすぐ手術すると先生がいうかもしれないです」
とのこと。。。すぐ!
ここが谷澤動物病院の嬉しいところ。
普通病院なら、「手術は一ヶ月先」などがザラにある。
毎日のように外科手術をこなしている谷澤先生だからこそ、
言えるのだろう。
病院に帰り、谷澤先生はCTを見るなり
「こ〜れは激痛のはずだよぉぉ!よく、あの症状で済んでたなあ」
とすぐに手術するとの事だった。
フレンチブルドッグのような短吻種は麻酔のリスクが高いので
そう何度も麻酔はできない。
鎮静剤から麻酔に切り替えてこのまま手術するとの事。
良かった!圧迫箇所を取り除けば痛みは消えるはずだ!
先生は手術を見せてくれた。
部屋の外の小窓からブライアンの手術が見えた。
心拍系の音が母親の最期を思い出させ
さすがに僕は途中で気分が悪くなり、外へ一服しにいった。
先生の手が途中で止まった。
何故だ??何だ???
縫合にうつり、中へ呼ばれると、
「軟口蓋も切除しちゃっていいか?」と聞かれる。
ブライアンは軟口蓋という鼻長犬種と違い、鼻短犬種は、
鼻が短い分、軟口蓋が、気管への入り口が狭い。
それにより、呼吸困難など起こしやすくなり、夏は
死にそうになった事が何度もあったので切ってもらった。
「もういいよ、近く寄って」
といわれ、縫合間もないブライアンに近づくと、
「もう骨になっちゃって取れなかった!これ以上やると
神経傷つけて一生麻痺になるよ、だから、神経をむき出しにして
圧迫から逃げる道を作った」
と完遂ではない手術に対して悔しさの感じさせる言葉だった。
仕方のない判断だった。
横たわるブライアンは血の臭いと
レーザーメスの肉が焼けた臭いを
させ、ぐったりと横たわっていた。
正直、手が震えた。
こんな目に合わせたのは俺なんじゃないかと
相当動揺した。
やがて麻酔から意識はないものの、反応があると
ものすごい苦しそうな鳴き声を上げた。
僕らも相当疲れ果て、ブライアンを置いて
その日は帰った。
本当に疲れた。
強い心労だ。憔悴した。
家に帰っても二人とも口数が少なかった。
つづく